くまモンが地元熊本をつぶしにかかる?!熊本から海外進出で国際スター目指す!?

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1月、熊本県のキャラクター「くまモン」のイラスト利用が海外企業にも解禁されました。

 
熊本県によると、これまで国内企業に限って無償で利用できたイラスト利用権ですが、広く海外企業にも門戸を開放し、そこで得たライセンス料(利用料5~7%)で、横行している粗悪品の品質審査や無許可品、偽物対策に使うということです。

 
さらに、海外展開でくまモンブランドを世界にPRし、熊本へ観光客を誘致したり、県産品の輸出などにつなげる狙いで、海外向け商品を出す国内企業へもこの制度を使えるようにしました。

 
今回、熊本県がこのような制度を取り入れたのは、ずばり偽物の普及です。主に中国企業などの偽物があまりにも多く出回り、今までくまモンのグッズなどを扱ってきた熊本県・国内業者への悪影響が出始めてきたからだと言えます。

 

ここで疑問があります。

 

疑問その1 粗悪品や偽物商品は減るのか?

 
今まで粗悪品や偽物を作ってきた業者は、もともと違法な事をしているのは承知の事実。今更やめるはずがないでしょう。儲けをけずってまでライセンス料を支払うとはとうてい考えられません。逆にくまモンの認知が成功し今以上に広まれば、ますます量産されると想像されます。

 

疑問その2 くまモンの役割は、まず地元還元のはずなのに・・・

 
くまモングッズを製造・輸出している地元熊本の業者には、海外企業から「これからは自分たちでつくるから」と注文のキャンセルが来ているそうです。熊本に還元していたものが、徐々に海外に流出し誰でもどこでも作れるとなれば、地元業者の撤退が目に浮かんできます。

 

疑問その3 観光客の誘致・県産品の輸出など夢物語でないのか?

 
くまモンの世界進出で熊本を広く知ってもらい観光客を誘致するなどとしていますが、熊本県のPRを求めないという条件の代わりにライセンス料を取るとしています。えっ!PRは条件にはいっていない??これだと単にくまモンだけが独り立ちし、熊本県は関係ないですよね。

 

疑問その4 ご当地キャラクターをどこまで引っ張るのか?

 
数年前のご当地キャラクターブームは、スターキャラクターを作りそれぞれ地元に根を張った活動をしています。すでにブームは一段落しているのです。くまモンも、地元、熊本ありきのキャラクターではないでしょうか?熊本が外れることで、今まで以上の魅力が続くのか甚だ疑問に感じます。

実際、この1月に熊本県は新たな戦略として「くまラボ」を開設し、ITやアニメなどの分野での活用策を検討することになりました。これは、いずれ人気は頭打ちになると見越した動きで、危機感はあるようです。

 

疑問その5

 
ライセンス料は海外企業で5~7%、国内企業(輸出対象)3~5%を徴収し、偽物や粗悪品の対策に使うとありますが、他のブランド例にもあるように、いたちごっこになるのは否めません。新たに人・モノ・金を使うのなら、地元にライセンス料を還元できる事に使った方が良いと思われますが・・・

 
 
などなど、今回の事案ではわからないことが多くあります。

 
 

まだまだ「くまモン」だよりの熊本県

 
さて、くまモンの関連商品の売り上げをみると、2016年には1280億円。熊本の経済は、農産物から過去食品、衣料・雑貨など多くの分野でくまモンを頼っています。復興支援で使用許諾件数も毎月300件と好調なようです。

 
くまモンとの交流ができる熊本市の「くまモンスクエア」には、4年間で160万人が訪れています。現在ではその訪問者の半数が中国などアジアからの外国人だそうです。

 
このような背景もあって、熊本県はまだまだくまモンはいける!世界に通用する!と今回このような制度を打ち出したのでしょうか?。

 
 
疑問その2・3で触れましたが、問題は地元の熊本県です。くまモンがまだ無名の頃から支えてきた中小の業者はたまったものではありません。

 
当初は、くまモンというキャラクターを広めるために、色んな商品で使っていきましょう!と行政と一緒に盛り上げてきて、全国区のキャラクターにのし上げ、キャラクタービジネスを成立させてきたにもかかわらず、ここにきて、国内のみならず海外の業者と戦うことになってしまいました。

 
行政からは、広く世界に広まれば熊本の業者も海外進出の門戸が開かれる。観光客も今以上に押し寄せると説明されますが、その前に商売が頓挫してしまう恐れもあります。

 
芸能界によくある話みたいですね。
 
売れる前は、地元の人たちが頼りです、よろしくお願いします。といっておきながら、スターになると地元にはどこかつれないそぶり。これからは、さらに海外を目指させますので。不快に思うかも知れませんが、世界でさらに大きくなれば地元の人も満足でしょう。と事務所の方針。

 
今回の場合、事務所=行政です。

 
世界と言いますが、せいぜいアジア、とりわけ中国を見ているのは間違いありません。日本アニメに関心の高いフランスなども可能性はあるかも知れませんが、仮に、火が付いた場合、熊本の業者が世界に商品を輸出するようになるのでしょうか?

 
もちろん、そうなると中国などコストが安くて大量に商品を供給できるアジアの業者が、世界を相手にすることになります。熊本には1円も落ちてこないでし
ょう。よほど優れた商品でないと太刀打ちできませんが、そんな高度な商品が、キャラクターに頼る商品群に必要だとも思われません。

 
本来、熊本の産品をPRすることから生まれたはずのくまモンですが、こうなると全く目的から外れてしまいました。

 
「くまモンは世界中にありますが、くまモンは熊本です!聖地は熊本です!」
 
とPRすれば観光客を呼べると思っているのでしょうか?

 
熊本の業者はライバルに飲み込まれ、観光客も頭打ちとなると、もはやくまモンに価値は見いだされません。そうなる前に、キャラクターにいつもまでも頼らず、熊本らしい素晴らしい商品やサービスの開発に目を向けるべきだと思います。

 
私からすれば、どうも行政が広告代理店に上手く乗せられた事案だと思えてしかたありません。

熊本の地元の業者や国内の業者には、スターになったくまモンに襲われるような最悪のケースを免れて欲しいものですね。

 

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