2022年2月4日、いよいよ北京冬季オリンピックが開幕しました。
しかし、皆さんも感じておられるかも知れませんが、もうひとつ盛り上がりに欠けている感じがしませんか?
もちろん、昨年の東京オリンピックと違い、他国での開催ということもありますが、テレビを見ていても明らかにいつもと何か違うのです。
いつもなら、数ヶ月前からスポンサーや協賛企業のCMには、オリンピックと絡めたコンテンツが使われて、それとなくオリンピックを意識させてくれるのですが、今回の北京冬季オリンピックに限っては、そのようなCMが極端に少ないような気がしています。
2つの大きな世界的情勢がスポンサーの宣伝活動に影響を与えている
ここで言う北京冬季オリンピックの盛り上がりの無さは、2件の世界情勢の問題が大きく影響を与えています。
1つはコロナ感染対策。
東京オリンピックに続き、北京オリンピックにおいても、未だ世界中にコロナ感染・オミクロン株の拡大による影響が続いています。
中国では、東京を先例に厳重なコロナ感染対策を行なわれていて、バブル方式で選手やコーチ・関係者を隔離し外部の人たちとの接触を遮断しています。
※バブル方式=1つの泡の中に閉じ込めるイメージ
また、日本国内では過去最高を更新する数の感染者が出ており、マスコミのニュースはその時間に大半を使わざるを得ない状況です。
もう1つは、アメリカと中国の外交的対立で、こちらの方がオリンピックのスポンサー活動により大きな影響を与えています。
アメリカと中国の外交的対立で身動きが取れないスポンサー企業
中国が少数民族ウイグル族に対して人権侵害をしているという疑いから、アメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダなどが今回の北京冬季オリンピックを外交ボイコットしています。
その影響で、オリンピックのインターナショナル・スポンサーは、この問題には口を閉し、従来の積極的な宣伝活動もどこか自粛ぎみなのです。
北京冬季オリンピックは、スポンサー企業にとっては自社をアピールできる巨大なマーケティングの機会です。
それにも関わらず、大会目前になってもその熱は伝わってきませんでした。
各企業にとって、外交ボイコット陣営も中国もどちらも巨大なマーケットであることは変わりありません。
それだけに、どちらの陣営も刺激しない中立的な立場を取るしかないのでしょう。
結果、いつもならテレビをはじめマスコミを賑わすコマーシャルも自重せざるを得ないのでしょう。
このことが事前の盛り上がりに水を刺したのだと思います。
北京冬季オリンピックのワールドワイドパートナー企業紹介
政治的・社会的な話はさておいて、大会の成功を祈りつつ今回も北京冬季オリンピックのスポンサーを紹介しましょう。
オリンピックのワールドワイドパートナー企業は13社あるのですが、どの企業も世界的に有名な企業です。
しかし、個人の勉強不足ではありますが、3社ほどあまり聞き慣れない企業がありました。
その3社は、エアービーアンドビー、アリアンツ、そしてアトスです。
また、アリババはなんとなく知っていて、中国最大のBtoC向けのECだと思っていて間違っていました。
ではその3社を含め他10社もまとめて紹介していきましょう。
エアービーアンドビー
2008年にアメリカのサンフランシスコでスタートし、バケーションレンタルサービス世界最大手のサービスです。
ユーザーはホームステイを中心とした宿泊施設や観光体験を手配したり、賃貸物件をリストアップしたりすることができます。
また、同社が提供する「体験」サービスは、世界1,000以上の都市で40,000以上、日本では約2,000のアクティビティが提供されています。日本法人のAirbnb Japanは2014年5月に東京に設立されました。
アリババ
2018年より2028年までの10年契約で国際オリンピック委員会 (IOC)の13社目(トヨタなどに続く)のワールドワイドパートナーとなり、中国本国の北京オリンピックでは、五輪開催都市の交通や会場などをクラウドで制御する計画を発表しました。
すでにAIで都市を管理統制する「城市大脳」(シティブレイン)のモデル都市である杭州では、交通渋滞の解消や当局による犯罪容疑者の逮捕などに成功しています。
アリアンツ(Allianz SE)
ドイツ・ベルリンに本社を構えるドイツ最大の保険会社で、損害保険や生命保険、医療保険および資産運用管理や各種銀行業務などを傘下に持ち、世界70カ国で展開する世界有数の金融グループです。
独・仏・伊・米・墺(オーストリア)・伯(ブラジル)など7カ所のスタジアムのネーミングライツを取得していたり、またF1のメルセデスチームのスポンサー活動も行っています。
アトス
アトスはフランスを拠点とし、売上高110億ユーロ、世界73カ国で11万人もの技術者を持つデジタルサービスの企業です。
金融、製造業、官公庁、医療など全多くの業界に製品、およびサービスを提供し、企業のIT革新のパートナーとして世界的に信頼されている企業です。
2001年以降ワールドワイドITパートナーとして、オリンピック・パラリンピック大会のITソリューションを提供。
日本ではパナソニック株式会社をはじめ、大手日本企業とのパートナーシップも構築しています。
ブリジストン
東京都中央区に本社を置く日本のタイヤメーカーで、石橋正二郎によって創設された新興財閥。
世界最大のタイヤ製造及びゴム加工会社の一つです。
1930年に日本足袋(現アサヒシューズ)のタイヤ部門から、1931年にブリッヂストンタイヤ株式会社として分社独立後、1984年(昭和59年)に株式会社ブリヂストンの社名になりました。
スポーツとの関係は、(株)ブリジストンスポーツを中心にゴルフ、テニス、モータースポーツなど広範囲で展開しています。
小学生の時知った、石橋だからBIIDE STONEは洒落てます。
コカ・コーラ
アメリカ・アトランタに本社を置く世界最大の飲料メーカーであるのは誰もが知るところ。
さらに世界有数のスポーツマーケティングに優れた企業でもあります。
オリンピックのスポンサードは1928年から約1世紀近くたった現在も続いていていて、オリンピックといえば、コカ・コーラ。
このロゴを目にしない時はありませんね。
インテル
アメリカ合衆国カリフォルニア州に本社を置く半導体素子メーカーで、主にマイクロプロセッサ、チップセット、フラッシュメモリなどの設計開発・製造・販売を手掛け、1992年以降から現在に至るまで、世界第1位の半導体メーカーとして君臨し続けています。
特に世界のPC向けCPU市場2020年現在60%近いシェアを維持しています。
「インテル、入ってる」のコピーは秀逸です。
オメガ
誰もが一度は耳にしたことがある、超有名なスイスの高級腕時計メーカーですね。
現在はスウォッチ・グループに属しています。
1848年に創業した歴史を誇り、世界的高級ブランド時計として認知されています。
先日の全豪オープンでもオメガが協賛していましたね。
1980年には日本のセイコーによる買収騒動が持ち上がりスイスの国会で騒動と成ったこともありました。
パナソニック
1918年に松下幸之助によって設立さたこ日本を代表するメーカーです。
2008年に社名をパナソニック株式会社に改称し、ブランドを世界的に「Panasonic」に統一。
日本国内における電機業界では日立製作所・ソニーに次いで3位の売上高を誇リます。
昭和世代には、「ナショナル」ですかね。
プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)
アメリカ合衆国オハイオ州に本拠を置く世界最大の一般消費財メーカーです。
日本ではP&Gジャパンを展開しています。
マーケティングに極めて力を入れる企業として知られていて、社内でのブランド・マネジャー相互の競争はきわめて激しく、ビジネス誌フォーチュンにて、「社員の能力」が業種を超えて世界ランキング第1位に選ばれています。
P&Gのブランド戦略は、MBAのケーススタディの題材としてもよく取り上げられるそうです。
サムスン
大韓民国(韓国)の多国籍コングロマリットです。
グループ企業総数は64で同国最大の財閥です。
日本では携帯電話や家電で有名なブランドですね。
李秉喆が早稲田大学中退後、馬山にて友人2人と1万円ずつ出資し設立した協同精米所の事業が失敗。
その後1938年3月1日に大邱で設立した株式会社 三星商会(みつぼししょうかい、現:サムスン物産)が今日のサムスングループの始まりです。
トヨタ
トヨタ自動車株式会社を中核にするトヨタグループは日本を代表する世界的企業。
今や世界のトヨタと呼ばれ、2021年度のグループ全体の販売台数は1049万5548台で2年連続世界1位。
会社創立以来企業スポーツに力を入れていて、創業者の豊田喜一郎氏は、自動車部とともに運動部をつくり「ネバーギブアップ」「フォア・ザ・チーム(For the Team)」の精神を大事にしたことが現在も引き継がれています。
ビザ(VISA)
アメリカ合衆国デラウェア州法人であるVisa Inc.。
決済ブランドを運営する企業でVISAカードで良く知るところですね。
オリンピック大会では唯一の決済プロバイダーとして、すべての会場におけるペイメント環境とネットワーク全体の構築・管理の責任を担っています。
2024年パリ・オリンピックはどうなる?
どうでしたか?
ほとんどが世界的に有名な大企業ですね。
これらオリンピックのワールドワイドパートナーは、10年契約とか長期のスポンサード契約を結んでおり、ほとんどが東京オリンピックでも見られた企業です。
これら大企業が、いつもよりコマーシャル活動を控えているとなると、単純に広告費の事を考えただけでも相当な損失を想像してしまいます。
次回、2024年のパリ・オリンピックでは、東京・北京のようなことが無いように、以前の姿に戻って活気溢れるオリンピックになって欲しいものですね。