大坂なおみ選手の優勝の後ろで目立ったスポンサー広告
2019年のテニス全豪オープン女子シングル決勝は、日本の大坂なおみ選手がチェコのペトラ・クビトバ選手を破り初優勝、全米オープンに次いでグランドスラム2大会連続制覇を成し遂げました。
しかも優勝したことで世界ランク1位の座を確定。シングルスではアジア勢史上初の世界ナンバーワンという栄誉。
日本的には平成最後の年明けに素晴らしいニュースとなりました。
管理人はシングルス決勝戦をWOWOWでライブ観戦した訳ですが、大坂なおみ選手のテニスは勿論なのですが、仕事がらどうしても周りのスポンサーのロゴに目がいってしまいました。
これでもかと目に入ってくるのはコートと観客席をセパレートするフェンスというか壁。コートを囲んですべてLEDバーチャルビジョンになっています。
デジタルサイネージとも言いますが、コンピュータによってプログラミングされ、映像やロゴ、広告が自由に表示できるシステムです。
サッカーの試合ではおなじみですし、プロ野球の球場にも使われています。管理人の記憶ではメジャーリーグの野球場でいち早く使われていたように思います。そこで今回の全豪オープンを観ていると、たくさんのスポンサーの文字が目に入ってきました。
時間の表示では、「ROLEX」。他には「ダンロップ」などもおなじみですね。
このような世界大会規模のスポーツシーンでは日本の企業の広告が頻繁に見られますが、こと今回の全豪オープンに限っては、日本のスポンサーはほとんど見れませんでした。
そのかわり「あれっ?なんだ?」とそ目に入ったのが
「KIA」
「国窖1573」
「ANZ」
という、普段あまり目にしない文字でした。
もちろん、全豪オープンのスポンサーの広告ですね。
で商売柄、ちょっと調べてみました。
「KIA」「国窖1573」「ANZ」とはどんな企業なのでしょう
まず、「ANZ」です。これは地元オーストラリアのオーストラリア・ニュージーランド銀行で、オーストラリアの市中銀行です。(Australia and New Zealand Banking Group Limited
)
175年以上の歴史を有し、現在はオーストラリア・ニュージーランド・アジア・太平洋地域、そしてアメリカ・欧州・中東を含む32の国・地域で展開している大手銀行ですね。
ロゴは蓮をイメージしたものだそうです。
全豪オープンで最も目立っていたと言えるのが「KIA」です。
これは韓国の自動車メーカー「キア・モーターズ(起亜自動車)」で、韓国では現代自動車(HYUNDAI)に次いで第2位の自動車メーカーです。
コストパフォーマンスに優れているということで、北米でも人気を集めているようで、全米で1億人がみると言われるスーパーボウルの中継で、エアロスミスのスティーブン・タイラーを起用したCMを流し話題になりました。
ドイツのデザイナーやエンジニアを起用し、かなり高性能な車を開発しているそうで、本格的に欧米進出を狙っているようです。
世界中で放映される全豪オープンでのあの露出は、全世界にKIAの名前を轟かせたことでしょう。そういう意味では大成功のスポンサーリングですね。
そして、いつもKIAの横に表示されていたのが「国窖1573」という文字。
「国窖1573」・・・とうやら中国の企業っぽいぞっ!
やっぱりそうでした。これはお酒のブランドです。
しかも中国の国宝とされている蒸留所で作られているそうな。そこで作られるこのお酒「GUOJIAO(国窖)1573」は、中国の「白酒(高粱(こうりゃん。モロコシが原料)」を評定する際の基準となる有名なお酒なのだそうです。
中国政府の迎賓館(釣魚台迎賓館)御用達のお酒だそうで、どうも中国政府の海外戦略のひとつとして全豪オープンのスポンサードをしているのだと思われます。
同じお酒では、「Jacob’S Creek(ジェイコブス・クリーク)」というオーストラリアで一番愛されているワインブランドも広告も表示されましたが、「GUOJIAO(国窖)1573」の方が圧倒的に多く表示されていたと思います。
最近ではこういった中国企業の広告をよく目にするようになりましたが、今回の「KIA」のように韓国の第二位の自動車メーカーの広告をみるのは珍しいです。
それでさらに調べてみると、「KIA」は今では1位の現代(HYUNDAI)グループの配下に入っているグループ企業でした。どうりで、HYUNDAIが出ていないはずです。
スポーツイベントのスポンサードと経済事情
でも、日本企業のスポンサードがほとんど無いというのも寂しいものですね。もちろん、優勝した大坂なおみ選手や錦織圭選手個人には日清食品やユニクロなどのスポンサーが付いていますが、全豪オープン大会そのものへのスポンサーは無かったのでしょうか?
確かにテニスは長い間、日本人のトップランクプレイヤーが現れず、メジャーなスポーツというにはまだまだです。そう考えると、広告効果も費用と天秤にかけるとそんなに期待できなかったのかも知れません。
こういった世界大会のスポンサードとなると、相当な金額が必要になります。スポーツイベントのスポンサー広告1つ観ても、現在の中国の勢いを感じますね。
スポーツイベントには、このようにスポンサーのバックアップが無いと成り立ちません。そこには、大会が大きくなればなるほど莫大なスポンサー料をめぐったやり取りが数ヶ月、数年かけて行われています。そのへんのやり取り、営業シーンなども想像すると興味がわきます。(私だけかもしれませんが(^o^)・・・)
画面から伝わってくるスポーツの熱戦に一喜一憂するのも楽しいですが、広告一つから色々な見方ができるのも面白いモノですよ。
ただ、個人的な意見としは、あまり漢字の文字が出てくるのは、デザイン的にあまりカッコの良いものでは?という気もしますが・・・。