インドの食品廃棄物削減(食品ロス問題)に焦点を当てたキャンペーンが面白い理由!

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インドの広告代理店協会(AAAI)が作った巨大ポスターのメッセージ広告

インドの広告代理店協会(AAAI)が作った巨大ポスターのメッセージ広告

少しひねりを加えたインドのポスターが話題を集める

昨今、世界的に食料廃棄物を削減しようという動きが活発ですが、インドでも同様、多くの食べ物が食べられずに廃棄されているそうです。

所謂、「食品ロス問題」ですね。

そこで、インドの広告代理店協会が、食料廃棄物削減の啓蒙活動の一環として、巨大なメッセージ広告ポスターを作り話題を集めたという話を紹介します。

巨大なポスターにメッセージが書かれている

写真でわかるように、巨大なポスターにメッセージが書かれているように見えます。

実は、このメッセージはすべて廃棄された食物で作られているのです。

広告代理店協会(AAAI)このポスターを作った背景には・・・

「広告代理店は多くの企業のPRをする立場から、食品企業のクライアントも当然多く取引しており、その仕事を受ける代理店も食糧廃棄物削減の意識を持つべきである」

という考えから、協会に加盟する各代理店から出た廃棄食料を集め、トラックで運び、それらを使って文字を描いたのです。

協会に加盟する各代理店から出た廃棄食料

完成したポスターは約4m×6mにもなり、クレーンを使って高いところから写真や映像を撮って作品を完成させました。

ポスターに描かれたメッセージは

「ありがとう。あなたたちのおかげでこの広告を作ることができました。」

と各広告会社の廃棄食品に焦点を当てているような皮肉った文言が記されたのです。

ありがとう。あなたたちのおかげでこの広告を作ることができました

このポスターはインドでニュースとなり、大きな話題を集めたようです。

これも食糧廃棄物削減の啓蒙運動に一役買ったという訳ですね。

世界では食品の1/3が捨てられているって本当?!

インドに限らず、食品廃棄物の削減(食品ロス)は世界中の大きな問題です。

実際のところ世界中で廃棄されている食品はどれぐらいなのでしょう?

なんと年間約13億トン!

これは全世界の食品の約1/3にあたるそうです。

とてつもない量の食品が、無駄に捨てられていると聞くと驚きとともに「なぜ?」と思いませんか?

「それだけ余ってしまうのなら、発展途上国の地域で貧困で苦しんでいる人達にまわせるのに」と素人は考えてしまいます。

しかし、この問題の影には、食品衛生の問題、環境破壊や資源の枯渇問題、貧困改善の課題、そしてお金の問題など、解決が急がれるもなかなか進まない要因が複雑に絡んでいるようです。

政治的なものとかが絡むと、なかなか簡単ではないようですね。

日本における食料廃棄食品の削減問題はどうなのでしょうか?

実はわが国も、他人の事をとやかくいう資格など毛頭ございません。

日本の食品ロスは、年間約621万トンだそうです。

この量は、わかりやすく表現すると、国民一人が毎日お茶碗に1杯の食品を捨てていることになるそうです。

「えーそんなに?」「どうせ、レストランとか業務用でしょ」と思われる方も多いかと思いますが、実は意外と一般家庭から出る量も半端ない量なのです。

日本の621万トンのうち、製造業や外食産業など事業系からの食品ロスが

339万トンに対して家庭から出る量は282万トン

339万トン VS 282万トン

もあるのです。

これでは「廃棄大国」と言われても仕方ありません。

そういえば近年、土用の丑の日の「うなぎ」と節分の時の「恵方巻き」の大量廃棄がニュースになっています。

わざわざ農水省が警告をだしたとか。

さらに、インスタ映えするということで、飲食店で写真だけを撮る行為や、食べ残し、予約のキャンセルなど、食品廃棄に繋がる行為が目立っています。

これではいつになっても「廃棄大国」から抜け出すことはできませんね。

海外の食品廃棄の問題に対する改善策の例

それでは日本が早く廃棄大国から脱出するにはどうしたらいいのでしょう?

そのヒントはヨーロッパの国々の取り組みにヒントがあるのではないでしょうか。

食品廃棄の問題に積極的なヨーロッパの国々ですが、例えばフランスの場合は、「食品廃棄禁止法」という法律があります。

2016年から施行されたこの法律は、400㎡以上の大型スーパーは、売れ残りや賞味期限が切れた食品を廃棄することを禁じています。

廃棄量に合わせて罰金が徴収される厳しい法律です。

余った食品はボランティア団体を通して貧困層に回るように寄付しなければならないのです。

また、スペインでは「連帯冷蔵庫」といって一定の地域ごとに大型の冷蔵庫を設置し、一般家庭や飲食店から出る余剰食品や賞味期限が近づいたものを保管し、ボランティア団体の管理のもと、貧困層にまわるようになっています。

デンマークには、ボランティア団体が運営する賞味期限切れや包装にキズがついたものなどを専門に扱う専門店があり、格安で販売されています。

また、同じくデンマークで注目を集めているのは、「Too Good to Go」というサービス。

「Too Good to Go」は、スマホなどのデバイスで使えるアプリで、廃棄寸前の売れ残った料理があるレストランをユーザーが探し、それを格安で買うことができるフードシェアリングの元祖といわれるサービスです。

インスタグラムの公式アカウントには、加盟しているレストランのその日のメニューが掲載され、料理の価格も高いメニューで500円ほどと、たいへん格安です。

日本の実情と改善策への希望

このように食品廃棄問題の先進国には、学ぶべきものがたくさんあると思います。

ただ、日本で同じように取り組めるかというと、一概にOKとは言えない事情があるようです。

それは気候や衛生面での決まり、それに古くからの商習慣と消費者の意識が違います。

特に品質保持に関して賞味期限には厳しすぎるとも言われる決まりが壁となっています。

行政やボランティア団体の努力に期待するしかないのが現状と言えます。

しかし、同時に我々消費者が、「食べ残しをしない」「冷蔵庫の食品を食べ尽くす」「消費できるだけの食品購入を心がける」などの心構えをしっかりと持つことに取り組まなければならないでしょう。

インスタに上げるからとか、レストランの予約のキャンセルとか言語道断ですね。

まずはできることから初めて行かなければなりません。

広告の話にもどしますが、先に述べたインドの例ではありませんが、日本の広告業界も、ただ商品を売ることだけに固執するのではなく、こういった運動や取り組みを世の中に訴求していくのも素敵な企業活動だと思うのですが、いかがなものでしょうか?!

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