どうも、自粛中のくまざわです。
2020年春、日本全国に拡がった新型コロナウイルスの感染は、緊急事態宣言の効果もあってか、5月中旬になってようやく落ち着きを取りもどそうとしています。
この間、全国で自粛がなされ経済活動がほぼストップするという状況が続きました。
多くの業種に影響が出るなか、ここでは「広告業に与えるコロナ禍の影響はどうなのか?」「アフターコロナでの広告業の見通し」について検証してみたいと思います。
広告業界における新型コロナ感染拡大の影響
新型コロナウイルスは、あらゆる業界に大きな影響を及ぼしていますが、広告業界も例外では無いようです。
緊急事態宣言が発令され人々が外出を自粛したことで、メディアへの接触は格段に増加しています。
Youtubeをはじめ、Netflixやamazon primeなどの映像配信サービスの需要も格段に増加しています。
このようなネットメディアの消費急増が、広告の出稿に結びつくかというと、全くもって結びついていないのが現状のようです。
テレビやネットを始め各メディアを支えているのは企業の広告ですが、多くの企業はコロナ禍による影響を受け業績が軒並みダウンしているのは明白で、そのため広告費への支出ももちろんカットされます。
体力のある企業はそれでも持ちこたえられますが、中小の企業では広告費に予算を回す余裕などないのが現状です。
流通業の多くが営業自粛を余儀なくされ、広告や販促がストップしたわけですから、彼らを主なクライアントとしている広告代理店などは、3月から5月のすべての広告物の制作がほとんど無くなってしまったと言えるでしょう。
売上を見込んでいた広告物の出稿や制作が中止になったわけですから、広告代理店はおろか配下に位置するデザイン事務所などの制作関連企業や個人事業主も、かなりの被害を被っていると想像できます。
もちろん主とするクライアントに大きく左右されるわけですが、廃業する代理店や個人事業主はかなりの数にのぼるのではと危惧されます。
コロナ禍でダメージを受けた業界
コロナ禍によってダメージを受けている業界をあげると、主に次のような業界ではないでしょうか。
旅行・観光業界
緊急事態宣言による外出自粛は、他府県への移動制限を強いられ、仕事の出張も極端に大幅に減少しました。
当然旅行は海外・国外とも不必要なものは避けられ、交通機関の利用も大幅減少しています。
また、ホテルや旅館も営業自粛で、早々と倒産するホテルも出たとニュースになっていました。
総合リゾートで有名な星野リゾートで8割〜9割の客数減だそうですから、他のホテル・旅館なども同様あるいはそれ以上のところも多いと思われます。
そもそも、日本で最初に新型コロナウイルスが話題になったのが、豪華客船クルーズの乗客だったというのも観光へのイメージダウンだったといえるのではないでしょうか。
旅行・観光関係の企業広告は減少し、ネットサイトの訪問者も激減しているそうです。
レストランや居酒屋などの飲食業
営業自粛で街のレストランや居酒屋などの飲食店からは人が消えました。
営業している店舗も、閉店時間を早められたため売上は激減のことでしょう。
緊急事態宣言下では、これらの飲食店を利用しているだけでも、一部の人から「何考えてるのか?こんな時に!」と非難されるようで自然と客足は止まりますから尚更です。
特に中小のお店は深刻で、客足が戻るのがいつになるか予測できず、それまで存続できる体力が残っているかどうか、多くの店舗が危機に陥っています。
ライブ・エンターテイメント業界
音楽のライブ公演は、最初に大阪のライブハウスから感染者が出て、クラスター化したのが大きなニュースになり注目を集めました。
人が大勢集まる場所ではクラスターが発生する危険性が高いことが証明され、当然大きな音楽ライブや演劇などは中止となり、映画館も営業自粛となりました。
かわいそうなのは、劇場を主な主戦場としている芸能人たち。
テレビなどの仕事で売れている芸能人はほんの一部で、ほとんどはこれら劇場での舞台を生活の糧にしているので、劇場閉鎖は全くもって深刻な問題ですね。
また、当然これらライブやエンターテイメントには、演者以外に多くの人が関わっています。
中には中小の業者も多く、倒産などの問題もこれからかなりの数が表に出てくることでしょう。
展示会や会議など大規模イベント業界
ライブと同じように、人が集まる場所の展示会や大型会議場なども自粛を余儀なくされました。
展示会などはB2B企業を中心に商売の核となる大きな要因のため、それが無くなることで大幅な計画の変更を強いられます。
大型の展示会などは、広告代理店や広告業社も多く絡むことから、広告・販促企業にも大きな影響が出ています。
スポーツ・フィットネス業界
オリンピック東京大会が延期、選抜高校野球大会の中止、プロ野球・Jリーグの開幕延期など、ほとんどのスポーツイベントが延期や中止となり、それに伴う広告ビジネスも大きな打撃を受けています。
どれも大きな影響力を持つもので、特にスポーツはスポンサーとの結びつきが深いものです。
それらを扱うエージェンシーや広告代理店はさぞや大きな痛手でしょう。
フィットネス関連も施設を構える業態なので、その施設を閉鎖せざるを得ない状態は相当な体力がないと厳しいと思われます。
この業界はほとんどが中小規模の施設が多く、閉鎖している状況では、施設管理費と人件費だけが出て行く状況となり、また、再開後も一定のグループ単位で集まらないと厳しいため、なかなか元の状態に戻るのは難しいのではないかと思われます。
建築・建設業界
1つのプロジェクトが比較的大きいものが多い建築・建設業界への影響も甚大です。
この業界は、計画から着工〜完成に至るまでの時間が長いため、コロナ禍による大幅な計画の変更は時間的にも規模的にも大きいと想像できます。
下請け企業も多い業界ですので、計画変更による資金繰りの悪化などが心配されています。
メーカー・製造業界
大手アパレルメーカーのレナウンの倒産はショッキングな出来事です。
百貨店をはじめ流通がほとんどストップされたことで、アパレルを始め季節もの商品関連メーカーや製造業では在庫の山を築くことになっています。
季節ものだけではなく、物作りしたものが流通されない状態は、川下が閉ざされたのと同じで直接負担を強いられています。
製造計画も大きく狂ってくることから、販売網を持たないメーカーや製造業はかなり厳しい状態だといえます。
どうなる?アフターコロナでの広告業
多くの業種で、しかも全国規模で経済がストップしたのは近年では初めての状況です。
大きな被害を出した阪神淡路大震災や東日本大震災でも、これほど全国的な規模で経済活動がストップしたことはありませんでした。
また、現段階で新型コロナウイルスに対するワクチンの開発もまだまだ時間がかかるのは確実で、早急に経済活動が元に戻ることは考えられません。
アフターコロナと言っても「今後2年から3年かかるのではないか」という声も聞こえています。
この状況で広告業界に目をやると、「まず、お先真っ暗な状態」と言っても良いでしょう。
不況になると経費の中でまっ先にカットされるのが広告費というのは誰もが知るところです。
広告業界というのは、広告を出稿してもらってはじめて仕事が成り立つわけで、自身で何かを作り出して販売するものではありません。
つまり、クライアントしだいですから、企業の業績が良くならない限り元に戻ることは難しいわけです。
あるところでは、「広告業はオンラインマーケティングでのクリエイティブを強くして、より企業に沿った企画を提案して行く必要がある」と言われたりしています。
しかし、アフターコロナで生活形式も変化せざるを得ない中で、企業は急ぎ立て直しを図って行かなければなりませんが、それに負んぶに抱っこの広告業界は、根本的に自身でコントロールが難しい分、明るい未来はかなり遠くなりそうです。