競馬場でひときわ目立たない?広告看板を実際に設置した
世界中にはユニークな広告を展開する企業がたくさんあります。
その広告の多くは、突拍子な発想のもとに作られるのか、私たちの常識からは考えられないそのユニークさに興味を掻き立てられます。
今回の広告紹介もユニークそのもの。
アメリカの生命保険会社「MassMutual」が実施した屋外広告です。
MassMutual社は、競馬好きなら誰でも知っているアメリカクラシック3冠レースの一つ、「ケンタッキー・ダービー」のスポンサーを務めています。
そこで、このたびケンタッキー・ダービーが行われたケンタッキー州ルイスビルのチャーチルダウンズ競馬場で展開した屋外広告がなんともユニークそのものでした。
競馬場のあちらこちらに設置された屋外広告看板類たち。
いろんな屋外看板があるなか、「ひときわ目立たない・・・何が書いてあるか読めない」看板がありました。
その看板がMassMutual社の看板で、ユニークなのはこれらの広告がなんとミニチュアサイズで作られている点なのです。
信じられないことですが、しかもいくつかの看板は建物の梁部分や天井近くなどに置かれているため、双眼鏡を使わないと全く読むことができないのです。
こんなのって、普通に考えれば広告として成り立たないですよね。
生命保険会社としてミニチュア看板に込めた訴求ポイント
この広告看板が発想される前提として次のような調査報告があるようです。
『アメリカ人全体の中で、将来のマネープランをきちんと立てている人はわずか1/4程度』
我が国と同じように高齢化が進んでいるアメリカ社会。
MassMutual社がいうには、「老後困ることがないように、今のうちからお金の使い方をしっかり考えてもらうために」という意味がこの広告にあるのだそうです。
なるほど競馬場のあちらこちらに設置した看板には
『将来は思ったよりすぐにやってきます。お金のプランを立てましょう。』
『今小さな一歩を踏み出せば、のちに大きな目標を達成できます』
などといったメッセージが書かれています。
しかも、写真でもわかるようにミニチュアで作っています。普通では考えられません。
で、わざわざミニチュアで作った意味とは・・・?
「人々の興味を掻き立てると同時に、今のうちに将来を見据えた“小さな”アクションを起こしておけば、後に大きな財産となるのだということを印象的に訴えかけるため。」ということだそうです。
なるほど、自分が思い描く未来のために、きちんと計画性を持ってお金の使い道を考えていくことが重要ということなのですね。
・・・「えっ??」、「なんかおかしい・・?」
と、あなたは思いましたか?
確かにわかるけど、メッセージに説得力がないのでは??
たしかに、計画性を持ってお金の使い道を考えていくことは大切で、生命保険会社からのメッセージとして立派なコピーとなっていますが、「なんかおかしい?」と感じませんか?
そうです。
そういうメッセージを放つ生命保険会社が、なぜケンタッキー・ダービーをスポンサードしているの?ってことです。
確かにケンタッキー・ダービーは、スポーツイベントとしてアメリカでも有数の大きなイベントですが、その一方では、競馬ですのでギャンブルという要素もあります。
というかギャンブルという要素のほうが強い!
なのでギャンブルをスポンサードしている一方で、「お金は計画性を持って」って、なんか矛盾していますよね。
まぁ、このへんがアメリカらしといえばそうなのかも知れません。
細かいこと考えるな!一大イベントだから大いに宣伝になる!ということなのでしょう。
深読みすると、実はそこまでの事も考えられていて、こんな意見も出るだろう。
そうなれば、ミニチュアの話題に加えてさらに話題になるかも!と考えられた広告戦略なのでしょうか?
真相はわかりませんが、ミニチュア看板で注目を集めて話題を喚起させようという狙いは大いに成功したといえるでしょうね。